2023年10月29日（日）11：00～ ＠北九州市商店街
平成中村座が帰ってくる！
思い出すのは４年前。勝山公園にででーんと特設劇場が現れた。周りには長屋の店が並び、のぼりがはためき、人々が高揚した面持ちで列をなしていた。ひとたび劇場の中に入ると、提灯の色で橙っぽい客席、江戸時代の芝居小屋に来た気分。そして芝居のラストのあの仕掛け…！ 今でもあの興奮が忘れられない。
その平成中村座が、この秋にまた小倉に帰ってくる！
開幕（11月1日）に先駆け、10月29日、中村勘九郎丈や中村七之助丈らが人力車に乗って小倉の商店街で「お練り」をおこなった。
お練り
集まった観客はなんと2万5千人。狭い商店街のアーケードの両脇に笑顔の市民がぎっしり。「おかえり！」「待ってたよー！」と声がかかる。気温は高いが勘九郎丈らは涼やかな笑顔で丁寧に手を振り返している。時にはアーケード2階にも顔を向け、笑顔で応じている。小倉祇園太鼓のシャンシャン、ドンドンという華やかな音がさらにお練りを盛り上げ、そして気分も盛り上げてくれた。
式典
お練りの後は、船場広場にて式典。もちろんここにもファンのみなさんが鈴なりである。主催者の博多座社長、歓迎の意を込めて北九州市市長、北九州市議会議長とあいさつが続いた後に、出演者の9名がそれぞれマイクを握ってくれた。以下、簡単に出演者のあいさつを紹介しよう。
勘九郎丈は「4年前の公演の時にもお練りをやって小倉はとても熱い街だと感じたのですが、今回も負けじと熱い声援を頂けて本当にうれしい。その熱い思いを受け取って一カ月一生懸命平成中村座を務めたいと思います。」と第一声。そして「平成中村座の周りに三十軒長屋ができて江戸時代の街並みを再現した雰囲気になるので、ぜひその周辺にも足を運んでいただきたい」と劇場周辺にも言及した。
七之助丈は「4年前も今日のような良い天気だったのに皆さんのパワーに押されて『今日は足元のお悪い中…』と頓珍漢な挨拶をしたのを覚えています」と笑わせたのち、流行り病（コロナ）、そして旦過市場の火災に触れて、「心を痛めておりました。ですから、今回来られたことが嬉しい、私たちと皆さんで情熱をぶつけあって小倉を盛り上げていきましょう」と熱く語ってくれた。
片岡亀蔵丈は、七之助丈のその話を継いで、「11月13日の昼に平成中村座で旦過市場を後押しするチャリティーを開く」と発表。今回の座組では一番の年長だと自嘲気味に笑わせながら、「全部の芝居に全員が出ています。一丸となって小倉を盛り上げます」。
中村橋之助丈「子どものころから夢見ていた岡田良助（『小笠原騒動』）をさせていただく。4年前は勘九郎の兄が（この役を）なさったので、今回の良助の方がよかったと言われるよう一生懸命頑張りたい」と頼もしい一言。
坂東新悟「人生初めての人力車で緊張していたけれど、街の方が温かくて本当に勇気づけられました。前回公演は来ておりませんでしたので名前を憶えてください」と名前を連呼していた。
中村福之助「憧れの『小笠原騒動』で小平次役という役で携われることが楽しみです」
中村虎之介「皆様、本日は足元のお悪い中、ありがとうございます」…と七之助丈をからかった（！）後、「お祭りのように盛り上がる楽しい公演ですので応援をよろしくお願いします」とにっこり。
中村歌之助「『小笠原騒動』は小倉藩の話、ご当地でやれることが本当にうれしいです。」
中村鶴松「一カ月前にも小倉で公演をさせていただいたが、その時にも『お帰り』という応援の声をかけていただいた。盛り上げられるように精いっぱい頑張ります」
出演者たちの仲の良さやさわやかな笑顔が印象に残る。旦過市場の火災についても気にかけてくれたことがとても嬉しい。そして最後は小倉ゑびす締めで公演の成功を祈念し、盛会のうちに式典は終了した。
なおチケットはほぼ完売だそうだが、当日券は必ず出すという。抽選になるようだが、手に入れそこなった方は諦めずに挑戦してほしい。よそではなかなか味わえない時間と空間になるはずだから。
北九州市制60周年 『平成中村座小倉城公演』 演目：昼の部 一、義経千本桜 渡海屋 大物浦 二、風流小倉俄廓彩 夜の部 一、通し狂言 小笠原騒動 日程：2023年11月1日（水）～11月26日（日）千穐楽 （但し、休演日11月7日、20日） 昼の部…11：00開演 夜の部…15：30開演 会場：小倉城勝山公園内 特設劇場 観劇料：松席 \16,000 竹席 \16,000 梅席 \14,000 桜席 \12,000 お大尽席 \36,000
